【助産師監修】【母親学級・両親学級特集】出産時の妻へのサポート、プレパパはどうすればいい?
~全4回の連載特集でお届けします~
【プレパパ レッスン2】
第2回目はパパが知っておきたい、出産時に妻をどうサポートするかです。もし、立ち合いができなくても妻を応援する方法などを交え、パパのやること、できることはたくさん。その心得を解説していきます。
監修医師
浅井貴子先生
フリー助産師
赤ちゃん訪問指導歴約30年のキャリアを持つフリー助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、育児のアドバイスや母乳育児指導を実施。赤ちゃんのボディケアを始め、ベビーマッサージやマタニティエクササイズのインストラクターを始め、助産師としての知識を活かした産後の会陰ケア、おっぱいケア、ママのためのスキンケア、産後のメンタルケアなど、妊婦さんや産後ママ向けのセミナー講師を多数務める。
お産の始まり 自宅待機中のサポート
余裕を持って入院の準備をスタート
予定日の2週間前には入院バッグの準備を。バッグへの荷物詰め込みはぜひパパも一緒に。おなかが大きい妊婦さんの体の負担も減りますし、バッグのどこに何が入っているか把握しておけば、病室に入ってからあれこれ探すこともありません。また妻が不在のときにこなす家事のことも確認をしておきましょう。
コラム
妻が不在時の家事について
掃除、洗濯、食事のことはもちろん、衣類や書類などがどこにあるかやゴミの日や出し方など細かいことも確認しておきましょう。時間があればノートや表にまとめておくとさらに安心です。
「出産の兆候」を知り、妻の様子を把握する
出産が近づいてくると、おしるし(軽い出血)や前駆陣痛(我慢できるくらいのおなかの痛み、おなかの張り)などの兆候が現れます。妻の様子をよく見て出産が近づいてくるサインをパパも把握しましょう。妊娠36週からはいつでも連絡を受けられるよう体制を整えておくことも大切です。
「陣痛の波」の合間に入院の最終チェックを
陣痛は痛みが強くなったり、引いたりと波があるもの。痛みが強いときは腰をさすってあげるなどで痛みを逃してあげましょう。病院まではタクシーや自家用車など、事前に決めておいた交通手段で妻を安全に送り届けましょう。
自宅待機中にパパがやりたいこと
- 陣痛中の間隔をメモする
- 特に初めての出産の場合は妊婦さん自身が慌ててしまい陣痛の間隔を記録するのを忘れてしまう場合も。パパがしっかりメモを取ってあげましょう。また破水の様子なども記録しておくといいでしょう
- 陣痛タクシーなど移動手段の手配
- 病院への電話は、そのときの体の状況を説明するため妻が行います。パパは移動手段の確保、また車のシートに敷くバスタオルや防水シートの準備などをしておきましょう。
- 入院バッグの中身をチェック
- 母子手帳、健康保険証、診察券など必要になるものを再度確認。また印鑑や現金などの貴重品もパパがチェックしておきましょう。
一番の長丁場 陣痛中のサポート
妻がお産に集中できる環境を作る
病院に着くとしばらく陣痛室で過ごすことになります。お産が進むにつれ、陣痛が強くなり本能的になって感情が抑えきれなくなることも。妊婦さんにとってこの時間が一番つらいと事前に理解しておきましょう。また立ち合いができないときは、妻の負担にならない範囲でスマホなどのビデオ通話を活用して励ましましょう。
痛み逃しといきみ逃しをサポート
陣痛が進むと痛みの大きさや痛む場所が変わります。妻の表情や反応を見ながら痛みを逃してあげましょう。また水分補給やうちわであおいであげる、一緒に呼吸のサポートをしてあげることも大切です。
痛み逃し
- 痛む場所を強めにさすってマッサージ
- 痛みが和らぐ体勢を取ってあげる
- 一緒に深呼吸するなどで妻をリラックスさせてあげる
- 水分補給やおにぎりなどの食べやすい物をスタンバイ
- うちわであおいであげる
「いきみ」とは便を出したいような感覚です。早くにいきむと産道が傷ついたり、赤ちゃんにストレスがかかるなど、リスクも増えます。妻がいきみたい気持ちをパパのサポートで上手に逃してあげましょう。
いきみ逃し
- 肛門を(テニスボールなどで)強く押す
- 長め、深めの呼吸を促しサポートする
赤ちゃん誕生 分娩&産後のパパのサポート
ハプニングに動じない
分娩室に入ると実はパパができることはあまりありません。医師や助産師の邪魔にならないように、陣痛中にしてあげたように手を握ってあげる、水分補給をしてあげる、うちわであおいであげる…など全力で応援しましょう。また大量の血や胎盤を見たりと、うろたえるようなことも起こります。さまざまなハプニングにも動じないように。また、分娩に立ち合えないときは連絡係に徹して、赤ちゃんの誕生を待っている人などに細かく状況を伝えてあげましょう。
妻と赤ちゃんに感謝を伝えて喜びに浸ろう
出産が終わったあとは母体の確認など2時間ほどそのまま休みます。自室に戻ったらまず妻へ感謝の気持ちを伝えて。落ち着いてからベビーとの写真撮影など出産の喜びを記録しましょう。妻と赤ちゃん、新しい家族が一緒に幸せを分かち合う時間をもつことが大切です。
この記事のまとめ
そばにいて支えることがパパの最大の仕事です
出産は初産で15~16時間程度かかると言われています。その間で一番長いのが陣痛に耐える時間。パパにとっては何もできない時間が続くかもしれませんがスマホやゲームなどは厳禁。「疲れた」「まだかな」「いつ産まれるの?」などの言葉もNGです。水分補給や痛み逃しなど全力でサポートして。パパがそばにいて支えることこそ、妻の安心につながります。
次回のレッスン3「パパと産後の赤ちゃんの関わり方は?」に続きます。
- 構成・文/
- 中島典子
- イラスト/
- タオカミカ