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【助産師監修】【母親学級・両親学級特集】今さら聞けない?お産の噂に一問一答でこたえます

~全5回の連載特集でお届けします~

【プレママ レッスン5】
最終回、第5回目は、お産にまつわる噂について。特に初めてのお産のときはどうしても気になってしまう様々な体験談や噂話…。しかし中には本当かどうかわからないことも。みんなの素朴な疑問に助産師がお答えします。

監修医師

浅井貴子先生

フリー助産師

赤ちゃん訪問指導歴約30年のキャリアを持つフリー助産師。毎月30件、年間400件近い新生児訪問を行い、育児のアドバイスや母乳育児指導を実施。赤ちゃんのボディケアを始め、ベビーマッサージやマタニティエクササイズのインストラクターを始め、助産師としての知識を活かした産後の会陰ケア、おっぱいケア、ママのためのスキンケア、産後のメンタルケアなど、妊婦さんや産後ママ向けのセミナー講師を多数務める。

「鼻からスイカ」って本当ですか?

正確にはスイカではなくグレープフルーツです

よく、“鼻からスイカを出す痛み”と言われますが、実際は「スイカ」ではありませんのでご安心を。赤ちゃんの頭の大きさはグレープフルーツ大とイメージしましょう。

よく言われるのは陣痛の痛みの辛さのこと。陣痛の痛みと産みだす(いきむ)ときの痛みは別物で、私たち助産師は陣痛を今まで経験したことのない痛み、と表現することが多いです。「ひどくおなかを壊したときの数百倍の痛み」、「骨盤が割れてしまうかと思った」「おなかの中からすりこぎで思いきりゴリゴリされているようだった」と話す人もいます。

ただ、いきみ始めると不思議なことに痛みはそう感じません。これは赤ちゃんが出てこようとする力と子宮が収縮する力で痛みが相殺されるからだと言われています。

いきんだときに便も一緒に出ちゃうって本当⁉

本当です。出てしまう人も多くいます

みんなが出るわけではありませんが、実際、出てしまう人は多くいますし、医師も助産師もとても慣れていますので安心してください。

不安であれば、入院したときに助産師に相談して浣腸をしておくこともできますし、出たとしても少しだけ。助産師がすぐに拭きとって、洗浄と消毒をしますのでお産に影響はありません。

また、赤ちゃんは狭い産道を通って出てくるので、腸が刺激されることで便意のように感じることもありますが、これは便意ではなくお産が進んでいる証拠。また、助産師が肛門をおさえてくれるから便は出ない、と言う話も聞いたことがあるかもしれませんが、これは便が出るのをおさえているのではなく、強くいきんだときに腸が出てくるのを防ぐためです。いずれにしてもあまり気にしなくて大丈夫です。

会陰切開ってみんなするの?裂けるって本当?

みんながするわけではありません。

会陰は膣口と肛門の間の長さ約3㎝ほどの部分です。子宮口が全開大で赤ちゃんの頭が見えてくるときに、皮膚が十分にのびきらないと裂けてしまうことがあり、自然に切れた傷は裂け目が大きくなったり、治りにくくなってしまいます。そうならないために、また、赤ちゃんを出やすくするために、分娩台で産婦人科医がはさみで切り拡げる処置が会陰切開です。局部麻酔をして切開することがほとんどですので切るときの痛みは感じないでしょう。

もちろん会陰の伸びがよければ、切開する必要はありません。自然に裂ける、切れるといったことを防ぐためにも、妊娠中からオイルを使った会陰マッサージなどで皮膚を保湿し、柔らかい状態にしておきましょう。

赤ちゃんがなかなか出てこないとはどういうこと?

赤ちゃんが産道を行ったり来たりしている状態

赤ちゃんは狭い産道をゆっくりと降りてきます。その降り方はまるで「3歩前進、2歩後退」をしているようなものです。また赤ちゃん自らの力では狭い産道を通り抜けることは難しいので、ママの陣痛の力、つまり子宮が収縮する力を借りてゆっくりと進んでいきます。

赤ちゃんにも個性があるもので、サクサク進む子もいれば、3歩進んだけど4歩戻っちゃった!という子もいます。この「行ったり来たり」している状態が長いときに、助産師が「なかなか出てこないね」と表現することがあるかもしれません。

医師の判断により陣痛促進剤を使うときもあります。子宮の筋肉に働きかけ陣痛を促すホルモンを投与しますが、これらは痛みの強さや赤ちゃんの様子をきちんと監視しながら行われますので心配はありません。

この記事のまとめ

疑問や不安は医師や助産師に聞くのが正解!

特に初めてのお産は未知のことがいっぱい。本当かどうかわからない情報もたくさん溢れていますが、何が正しいかは医師や助産師に聞いてみるのが一番です。ウソかホントか紛らわしい噂に惑わされないようにお産の知識を身に付けましょう。

さて、全5回のプレママレッスンはこれで最終回。次回からは全4回のプレパパレッスンへと続きます。

構成・文/
中島典子
イラスト/
タオカミカ
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